彼氏くんと彼女ちゃんの話 10

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***** 朝。 いつもどおり彼は迎えに来てくれる。 今朝はいつもより入念に髪をセットした。何を期待しているという訳でもないけど、息が綺麗になる口臭ケアの薔薇のサプリメントなども最近購入してしまったし。 色つきリップも買っては見たけど、使ってみたらいかにも頑張りました、な感じがしてやめた。 おそらく引かれる。 迎えに来てもらって、すぐにチョコを出した。 お互いに会える時間は少ない。 ならば朝イチのこの時間に渡せば、彼はチョコを家に置いていくことが可能になる……そう思ったからだ。 しかし失念していたが、彼は自分専用トキメキ仕掛け人なのだ。 だからこそ好きになってさらに惚れ込んでいった訳だし。 「……えっと。 三限の後、こないだの場所、でもいいか?」 「ほわちゃあぁ!?」 「……なんで『あべし!』なんだよ……。 体育とか引っかかってないだろ」 「ままま、またどうして、そんな人目に付くやもしれぬ逢瀬を仰せになる……」 「や、そのほうが雰囲気出るかなって思っただけだけど……逢瀬ってまたそんなオーバーな」 彼は先に歩き出した。 仕方なくチョコは鞄にしまう。 「来年、中三では。 同じクラスになれたらいいな」 くわ~~っ、振り向き際の彼の白い歯が眩しい……! 写真撮るのにレフ板不要な感じ? などと自分で考えて、表現があっているのか自分で気になった。 おかげさまで、めちゃくちゃ浮き立ちまくってしまった……。 そしてそんな自分を見て彼は楽しそうに笑ってるし。 また一限から三限までが長かったこと長かったこと……と言いつつも、二限の地理は途中で見事に睡魔に襲われてたりして。 いやどうも、すいません。
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