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そして、三限の後に図書室の階段をかけのぼる。 一度チョコを忘れて行って取りに戻ったのが悪かった、彼のほうが先に来ていた。
「ごめんな、かえってバタバタさせちまった」
「いや、そんな。 ……あー……一年たつんだねぇ」
当時はドキドキしまくって、かなりパニックになっていた。 なんとなく疎遠になってしまっていた幼馴染みにもう一度声をかけたのだから。
何を今更、な目で見られたらどうしよう、むしろ淡い初恋にしておいたほうが後悔しないのではないか、などと色々考えてしまった。
だけど、彼は即答で返事をくれた。 そして一年を経て今こうして同じ場所にいる、……一年前より近い心の距離で。
「今回は家で渡せるかと思ってたから、あんまりコンパクトじゃないんだけど……」
そう言いながら時間をかけて選んだチョコを渡す。 去年は、何よりもかさばらないもの、を基準で選んだ。 いきなり高級すぎるものだと重いかな、など色々悩みまくった。 食べる時は本当一瞬なんだけどね……!
「ありがとう。 ん、俺が無茶言ったからな。 ちゃんとカモフラージュ用に体操服の袋持ってきたから大丈夫」
彼は『感想は家帰ってからゆっくりRINEする』と言った。 おぅち、それならわざわざ学校で渡さなくても良かったことない……?
そう思ってる自分を見て、彼が目を細めた。
「?」
「や、あのな……今日でちょうど一年だし。 考えたんだけど、これからは俺、もう少しだけ……」
はい? え、なに、また何を言い出すんですかぃ、この御仁は?! もおぉ、こっちの胸が動悸どき……!
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