テトラポッド2

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そうして、俺はその子と付き合い出すと、 何度か、篤達とよくたまっていた後輩の家へと、その子を連れて行く事があった。 知らなかったわけじゃないけど、 その子は、篤と三年になってから同じクラスだった。 二人は同じクラスでも今まで特に話した事がないみたいだけど、 何度かそうやっているうちに、篤がその子に惚れている事に、気付いてしまった。 だから、俺はすぐにその子と別れた。 篤の好きな女とは、付き合えないと。 1ヶ月にも満たない、その交際。 初めて、好きかな?と思った彼女だったし、 全く手も出さず、キスさえもしないで手離したのも初めてだった。 そうやって、篤の為に、と思って尽くしてしまうのは、 円さんの事への罪悪感なのか、 テトラポッドの上から突き飛ばそうとした罪悪感なのか、 それとも、逆にテトラポッドから落ちそうな俺を助けてくれた感謝なのか、何から来る気持ちなのか分からないけど。 ただ、俺は、気付いていた。 その子も篤の事が好きだった事を。 その子が俺と付き合い出したのは、 きっと、篤に近付きたかったから。 俺と同じ優等生の彼女が、不良の篤と接点なんてなくて。 俺が、その接点なのだと。 篤がその子を好きだから、俺は身を引いたと思いながらも、 心の底では違った。 俺が接点になって、この二人が仲良くなったら嫌だと思っていた。
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