テトラポッド2

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◇ 斗希の昔の話は、けっこう衝撃的で。 ほんの少し、この人に畏怖の感情を抱いてしまった。 「だから、円さんとは結衣が思っているような関係じゃないから。 それなのに、俺との不貞行為で結衣に訴えられたりしたら、流石に円さんが可哀想過ぎて目も当てられない」 斗希の言うように、円さんが脅されて今も斗希と関係を持っているのならば、 私がもし、円さんに慰謝料の請求等して、それがきっかけで、円さんの家庭が壊れたりしたら…。 そこまでするつもりはなかったけど、 想像してみて、円さんに対して、申し訳ないような気持ちを抱いた。 「円さんとの関係は18年間だけど、会ってない時期とかも年単位であった。 流石に、妊娠している時の円さんを抱こうと思わなかったし、俺自身も忙しくてそれどころじゃない時期もあって。 けど、ここ数年は、けっこう頻繁に円さんと会ってた。 頻繁って言っても、月一回くらいだけど」 「円さんのパート先が定休日とは別に休みになる、第三木曜日だよね?」 そう言う私に、よく知ってるね、と言うように、斗希は小さく笑みを溢した。 「ここ数年、そうやって円さんとよく会うようになったのは…。 きっと、篤が幸せそうで、モヤモヤとしてたのかも。 その感情をぶつけるように、円さんを」 斗希の昔の話を聞いた後だから、 その言葉に違和感を持たなかった。 斗希の川邊専務への友情は、まさに表裏一体。 愛と憎。
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