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私は、斗希の居るテトラポッドの方へと、飛んだ。
それが急だったからか、斗希は少し驚いていた。
「落ちても知らないよ?」
そう言うけど、着地の時に私のバランスが少し崩れた時、私の腕を掴んでくれた。
それは、今も掴まれていて。
私は、ゆっくりと斗希に抱き付くように、
空いていた左手を斗希の背に回し、肩辺りに自分の額をつける。
「なに、一体?」
戸惑いながらも、私の背に両手を回して抱き締めてくれた。
「もし、ここから落ちる時は、斗希の事を道連れにするから。
だから、あなたが落ちる時も、一緒に落ちてあげる」
「分かった。
じゃあ、落ちないように気を付けないと」
その声に、私は小さく頷いた。
ほんの少しだけど、この人と本当の夫婦になれたような気がした。
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