2672人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、私はお風呂に入ると、
自分の部屋へと籠る。
いつもと、同じように。
私がそうやって部屋に居る時、斗希がリビングに居るのか、自分の部屋へと居るのかは知らないけど。
ただ、さっき、斗希も風呂を済ませたのは、その物音で分かった。
私はベッドへと入り、斗希に借りているミステリーの本を読んでいた。
それを読み終わり、本を閉じると。
時刻は、23時を少し過ぎたばかり。
今日は疲れているから、斗希はもう眠っているかもしれないな。
そう思いながらも、ベッドから出た。
リビングに行くと電気が消えていて、斗希の姿はなくて。
緊張しているのを感じながらも、
斗希の部屋をノックしていた。
暫くして、どうしたの?、とその扉が開いて、中の光が漏れ出す。
斗希は、パジャマ姿なのもそうだけど、眼鏡を掛けていて。
え、とその眼鏡を見てしまう。
「俺、普段コンタクトなんだけど、知らなかった?」
「うん…」
一緒に暮らしていても、知らないものなんだな。
洗面台とか、色々見たら気付いたのかもしれないけど。
「で、どうしたの?」
「この本、もう読み終わったから。
違う本、借りたくて」
持っていたその本を、上に持ちあげる。
「じゃあ、好きなの持ってって」
斗希は、部屋に私を招き入れるように、
横にずれてくれる。
最初のコメントを投稿しよう!