結婚指輪

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その後、私はお風呂に入ると、 自分の部屋へと籠る。 いつもと、同じように。 私がそうやって部屋に居る時、斗希がリビングに居るのか、自分の部屋へと居るのかは知らないけど。 ただ、さっき、斗希も風呂を済ませたのは、その物音で分かった。 私はベッドへと入り、斗希に借りているミステリーの本を読んでいた。 それを読み終わり、本を閉じると。 時刻は、23時を少し過ぎたばかり。 今日は疲れているから、斗希はもう眠っているかもしれないな。 そう思いながらも、ベッドから出た。 リビングに行くと電気が消えていて、斗希の姿はなくて。 緊張しているのを感じながらも、 斗希の部屋をノックしていた。 暫くして、どうしたの?、とその扉が開いて、中の光が漏れ出す。 斗希は、パジャマ姿なのもそうだけど、眼鏡を掛けていて。 え、とその眼鏡を見てしまう。 「俺、普段コンタクトなんだけど、知らなかった?」 「うん…」 一緒に暮らしていても、知らないものなんだな。 洗面台とか、色々見たら気付いたのかもしれないけど。 「で、どうしたの?」 「この本、もう読み終わったから。 違う本、借りたくて」 持っていたその本を、上に持ちあげる。 「じゃあ、好きなの持ってって」 斗希は、部屋に私を招き入れるように、 横にずれてくれる。
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