もう一人の復讐者

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その女性は部屋に入ると、 へえ、と見回している。 「斗希さん弁護士になって、けっこういい所住んでるんだ」 そう言う感じ、斗希の知り合いではないのだろうか? 知り合いは知り合いなのかもしれないけど、さほど親しくない間柄なのか。 「斗希の浮気相手…ではないのですか?」 その言葉に、その女性は、え、と驚いていた。 てっきり、この人が此処に私に会いに来たのは、斗希と離婚しろとか、その類いの事かと思っていた。 それについて私はどう答えようか考えていたが、特にその必要はなかったみたい。 「ねぇ、その首の痣みたいなの気になってたんだけど、 あなた斗希さんに暴力でも振るわれているの?」 その手が伸びて来て、私の首に触れると、少し痛みを感じた。 それに気付いたのか、その女性は、ごめんなさい、とその手を引っ込めた。
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