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《寧々side》
私が斗希さんに会ったのは、中学に入ってから。
私が一年で、斗希さん達が三年生で。
斗希さんは前期の生徒会長をしていたのもそうだけど、
その恵まれた容姿と学年一の秀才で、校内で彼の事を知らない人が居ないくらいに、目立っていた。
そして、その斗希さんの横には、いつも北浦篤という、校内一の不良が居た。
それは、夏休み。
夏休みに入る少し前から、私の二つ年上の姉、奈々(なな)が、
斗希さんの親友の北浦篤と付き合い出した。
それで、一度だけ、
私は斗希さんと話す機会を持った。
その場は、有名なファストフード店。
四人掛けの席、姉と篤さんが並んで座り。
その向かい、私と斗希さんが並んで座る。
私は、学園の王子様のような斗希さんとこうやって同じ場にいる事に、
終始ドキドキとしていて、その時の事は、あまり覚えていない。
「お前ら、本当そっくりだよな?」
今日、何度目かのその台詞。
篤さんは、私と、横の自分の彼女である姉の顔を、何度も見比べている。
「知らなかったら、双子かと思う。
よく見たら、身長とかは微妙に違うけど」
真横から斗希さんの声が聞こえるけど、
恥ずかしくて、そちらを見れなくて、
俯いてしまう。
「この子、照れ屋だから」
姉は、ケラケラと笑っていて。
「今日、無理に誘ってたら、ごめんね」
そう言った斗希さんに、慌てて、いえいえ、と首を横に振る。
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