もう一人の復讐者

8/21
前へ
/268ページ
次へ
私が、斗希さんや篤さんと、そうやって一緒に時間を過ごしたのは、その一度だけ。 そして、夏休みが明けると、姉は篤さんとは別れていた。 学校内で、その後も斗希さんや篤さんを見掛ける事はあったけど、 声を掛ける勇気もなく。 そもそも、声を掛ける理由もなくて。 それっきりで、二人は中学を卒業して行った。 もう二度と、斗希さんと篤さんに会う事はないと、思っていたけど。 私が高校一年の終わり頃に、二人と再会する事となる。 『ごめん。奈々ちゃんから、寧々ちゃんの電話番号聞いて。 あ、滝沢です。 俺の事覚えてないか。 昔、君のお姉さんの奈々ちゃんと篤が付き合っていて』 「あ、あの、分かります! 斗希さんですよね?」 それは、ある日突然かかって来た、電話。 それは、3月の上旬。 私のスマホが、知らない番号を表示して震えて。 『会って、少し話したいんだけど。 無理かな?』 「大丈夫です!」 その突然の電話に、私は迷う事なく、そう返事していた。 電話を切った後、思わず胸を手で押さえてしまう程、心臓がバクバクとしていた。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2660人が本棚に入れています
本棚に追加