もう一人の復讐者

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「あの、斗希さん。 一体私に何の話があったんですか?」 そう切り出すと、斗希さんはちょっと困ったように、視線を私に向けた。 「実は、篤の母親が癌になって」 「えっ?」 それには驚いたけど、何故、そんな話を私に? 「それで、けっこうお金が掛かるみたいなんだけど」 「え、私、そんなお金持ってないです! バイトしてるから、少しくらいならなんとかなりますけど」 銀行にある、その金額を思い出すが、 3万円程。 「いや、そうじゃないんだ。 えっとね、篤にある事をすれば、500万円くれるって人が居て。 向こうは、篤のそんな状況を分かっていて、近付いて来たんだろうな」 「えっと…」 一体、何の話か分からな過ぎて、混乱する。 話の内容がどうとかより、私に何故そんな話をするのか?
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