もう一人の復讐者

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「篤が、今AV関係のプロダクションで働いているの、知ってる?」 「あ、はい。 お姉ちゃんから聞きました。 冗談で、お金に困ったら篤さんに仕事紹介して貰おうかなぁ、って言ってました」 そんな姉は、高校も二年の途中で辞めて、 最近、キャバクラで働いている。 「奈々ちゃんではなくて、 寧々ちゃんは、その仕事に興味ない?」 そう優しい声で言われるけど、体中がスーと冷たくなるような感覚がした。 「ごめん。あるわけないよね。 本当に、ごめん。忘れて」 そう視線を逸らされ、思わず、斗希さんの腕を掴んでいた。 「あ、ごめんなさい。 あの、なんで私に?」 掴んだ腕を離すと、そう尋ねていた。 「実は、篤に、ある条件の子を、そのAVプロダクションの事務所に紹介して、その条件の元、1本撮影してくれたら、500万くれるって人が居て。 その人は、篤の会社の社長の、腹違いのお兄さんみたいで」 「えっと、そのある条件って?」 それもそうだけど、篤さんの会社の社長と、その腹違いのお兄さん? 「簡単に言うと、そのお兄さんは、弟であるそのAV事務所の社長を、罠に嵌めて欲しいらしい」 「え、なんで?」 「それは、なんでかは知らない。 けど、篤に500万あげるってくらいだから、よっぽど、その弟が嫌いなんだろう」 私は、その社長もそのお兄さんも知らないから、いまいち話がピンと来ない。 腹違いとか聞いたし、仲悪いんだろうけど。
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