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約束の時間から少し遅れて、馨はやってきた。
「ごめんなさいね薫、遅れちゃって」
「いいよ、僕も今来たばかりさ」
馨は僕の隣に来て、階段の上から下を見おろした。
僕もあらためてその景色を眺めてみる。
そう、僕と馨はこれからふたりして階段を転げ落ち、入れ替わるのだ。
「こうして見ると、やっぱり怖いわ」
「そうだね。僕もひとりじゃ無理かもな。君と一緒だからできることなんだ」
そう言って僕は腕を出し、馨の背中を抱き寄せる。馨も僕の背中を両手で強く抱きしめた。
馨と僕はしっかりと抱き合い息を整える。
「何があっても離れないようにしよう」
「うん」
そしてふたりは、勢いよく階段を転げ落ちていった。
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