平成元年十二月十六日

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蝶子ママのお店は昼はカラオケ喫茶、夜はゲイバーに変わる。 十一時から二時までカラオケ歌い放題ランチ付で千円ということもあり、近所のおばちゃん、おじちゃんたちの溜まり場になっていた。 「あーちゃん、飲み物お願い」 「はい」 マイクを片手に盛り上がっている常連さんのテーブルに飲み物を持っていくと、ここに座れと案の条、掴まってしまった。 「クリスマスに合わせて駅前通りとうすい通りをライトアップするみたいだ。そんな金あんなら、学校に行きたくても行けない子どもたちをどうにかしたらいいのに。観光客を誘致しなきゃならないのは分かる。分かるけど」 「まぁ、まぁ」 蝶子ママが常連さんを宥めていた。
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