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何かいい方法はないかしら…
解決策を探して、あたりを見回してみる。一人の男子高校生の姿が目に入った。
うん? あの子……
何かを探すように歩きながら上を向いてきょろきょろとしている。まるで、先ほどまでの、私のように。
きっとそうだ。何故か確信した。
セミを探しているのであれば、この鳴き声をたどってここにたどり着くはずだ。その時に手伝ってもらおう。彼にカメラを預かってもらって、私は飛び降りればいい。そんなことは、したことはなかったけれど、うちの2階よりも低いし、大丈夫だろう。
でも……。ためらいが浮かぶ。女子がこんなことをしていたらきっと、びっくりするに違いない。それも子どもではない。高校生の、女子が、だ。
なんて思われるだろう。私は考える。いや。そうだ。ひらめいた。
「普通」だと思わせればいい。どうせ、もう会わないのだから。これが、自然だと思わせればいいのだ。考えている間に彼は近づいてくる。
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