討伐手配書その1 ブリザードドラゴン

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「うーん。巣穴から外へ出てきてもらわないと困るんですが。どうしましょう?」 ゴーグルをおでこにのせ、私は大剣使いを見た。 「こう、巣穴をいぶして親を外へ出すとかできませんかね? 大剣使いさん。」 曇りなき眼で見つめる私に、大剣使いはつっこんだ。 「無茶言うな! 仕留めず、暴れさせず、大人しく巣穴から出す方法なんて知らんわ! それこそトニーとか言ったか、魔獣の生体調査員(専門家)がいるんだから、そちらに聞けばいいだろうが! 護衛は寝るし、画家は無茶を言うし、生体調査員(専門家)は手が遅いし、調査団は一体どうなってるんだ!」 「こうなってます!」 私が寝ているマッカス達護衛と、資料を読み漁るトニーの方へと手を向けて、現状を提示した。大剣使いがオーバーにため息をつく。 「ことは一刻を有するんだぞ。なんとかならないか?」 「とは言われましても。ね、トニー?」 私が話を振ると、トニーが資料をよむ片手間に、こう言った。 「ライトをチカチカさせたら、出てくるんじゃないのか~? 子どものブリザードドラゴンが反応してるんだ、親だってチカチカしだしたら気になるだろ」 「そう言うものでしょうか?」 私はトニーを穴があくほど見つめた。 「気になるなら、やってみればいいだろ?」 紙束をめくりながら、書かれていることに視線を走らせるトニー。私は敬礼して明るく言った。 「ラジャー! 勇者様ご一行は、のために、身辺警護、お願いしますね!」 「守ってもいいが、支払いは追加で、金貨三枚になるぞ」 「ケチー! そんな金、あると思いますか?」 「ないならやらん!」 「ならこっちにも、考えがあります!」 私は腰に手を当て、どや顔で言った。 「あなた達がモグリの仕事をしていたことを、冒険者ギルドに報告します!」 「またそれか!」 頭に手を当て、天を仰ぎ見る大剣使い。 「世の中、ギブアンドテイクですよ~?」 私はニヤリと笑った。
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