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Prologue─泡沫─
ひとりでは知り得なかった幸せを知ってしまったその日、消えない幸せをふたりで掴んでみたいと思った。
冷たくて大きなあなたの手を握って、どこまでも落ちていきたい。辿り着く先が深い奈落の底だとしても、ふたりでいられるなら、それでいい。
日常のすべてが、ふたりのものになっていく。
幸せです。あなたと交わすすべてが。時を刻むごとに終わりに向かっているとしても、愛しさは大きくなるばかり。
あなたといた時間が、泡沫ではありませんように。
魔法を解かないで。永遠ではなくとも、あと少しだけ、寂しがりやで美しいあなたの傍にいさせて。
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