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暗い、ふかい、夢の底にいたわたしを引きよせる、頭のひんやりとした冷たさ。
ぼんやりと、それが誰かの手だとわかって、そして、わたしの夢はパチンと弾けた。
まぶたの向こうは明るくて、夢のなかの寒さはどこにもない。
ぬくぬく、ふわふわとした何かのなかで、体もまぶたも、心地よく重い。
それでも、閉じていた目をゆっくりあけてみれば、
そこは、あたたかな光でいっぱいの場所だった。
やわらかなクリーム色の壁。
籠の中よりずっと広くて高い天井に、吹きこむ風にゆれる、白いカーテン。
見たこともない、おうちのある場所とは全然違う、すごくきれいで、明るい場所。
起きたばっかりで、まだ少し、頭がぼんやりするけど。
知らない場所、とわかって、ピシリと体に電気みたいな衝撃がはしった。
トクトク、トクトク、胸の中でなにかが暴れて、体の上にかけられているふわふわをぎゅっとにぎりしめる。
「………ああ。目が覚めましたか」
──カチカチに体を固まらせていると、すこし離れた場所から、誰かの声がした。
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