Ⅳ 秋風と林檎

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「本当なら貴女の置かれている状態、この屋敷の説明、それから……異端に関する知識の確認もしたいところですが。目覚めたばかりですし、少し時間を置きましょう」 近くにある机にのばされた、黒い手袋につつまれている、リヒトさまの手。 その長い指が、とうめいなビンのようなものを持つ。 太陽のひかりにキラキラかがやく入れものと、中に入った、むこう側がみえるくらいきれいなお水。 前いた場所で出されるのはいつだって、砂やホコリがはいっていて、器もカビはじめていた。 でも、それとはぜんぜんちがうものが、ふたつのカップをみたしていく。 「…さて。目覚めたばかりで喉が傷んでいるでしょう。まずは一緒に、お茶にしませんか?」 そう言われてはじめて、喉がカラカラに渇いていることに気がついた。 リヒトさまは一瞬、カップを持った手をわたしのほうに向けたけど。 すこし考えるように動きをとめて、「身体は起こせますか?」と聞いてから。 カップはわたしのいる場所のとなり、ちいさな机の上に置かれた。      
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