美貴

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運転士と同じ制服姿で、首元の赤いチョーカーまで一緒だ。 「…潮夏(しおか)ちゃんなの?」 「はい、お客様。先ほどはマッサージをしていただき、至福の極みでございました」 自分の頭を触りながら嬉しそうな潮夏(しおか)に、さっきの白猫ちゃんなのねと美貴(みき)はすんなり納得した。 「潮引(しおひ)いて潮時(しおどき)。さあ、そろそろご卒業くださいませ」 「へ?」 潮夏(しおか)の声を合図に、対面のガラス窓が映画のスクリーンのように光りだす。 まもなくそこには美貴(みき)と婚約者が仲睦まじくイタリアの市街地を散歩している様子が映った。 「!」 両手で口を押える美貴(みき)は心底驚いているようだが、その映像に釘付けだ。 それから場面がせわしなく変わるが、共通して2人が幸せそうにしている。 「あ…」 場面はイタリアの田舎町に変わった。 届いたばかりらしい小包を、婚約者とその両親、兄弟姉妹が全員で覗き込んでいた。 「あれって…」 小箱の中に入っていたのはペアリング。 どうやら先ほどの話に出ていた結婚指輪だ。 ザワザワと風の音が聞こえてくるが、それもスクリーンの中からのようだ。 自然に恵まれた広い家のバルコニーに風が吹き抜けていくと、異国の言葉が聞こえてくる。
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