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「美貴さん、きっと喜ぶわ!私とたくさん遊んでくれるかしら?」
「ねえ、挙式では俺がエスコートしていい?兄弟がやるもんだろ?」
「だったら私!姉として当然!楽しみね」
「美貴は泳げるかな?みんなで海に行きたいね」
楽しそうな会話が聞こえてくる。
美貴は顔がほころんだ。
「こらこらみんな、あの子の気持ちも考えなさい。これから家族になる人だ。うるさくして疲れさせないように」
「そうね。それに知らない土地で知らない私達と暮らすなんて、勇気がいるものよ。あなたも、結婚を急かしたらけませんよ?」
美貴の婚約者らしい男性が、心配そうな両親に笑顔で頷いた。
「勿論。それにいつまでだって待つ覚悟さ。だって俺は…美貴の笑顔が何よりも大好きだからね♪」
..........
婚約者の幸せそうな顔が見られたと胸が熱くなった美貴は、ふと気づくともとの駅のベンチに座っていた。
「…あら?夢?」
しかし夢にしては、今も不思議な安心感に包まれている。
「何も心配することなんてなかったのね」
左手の婚約指輪を空に掲げた美貴は、そのまま大きく背伸びをする。
「忙しくなるわね。引っ越しに結婚式、楽しみだなぁ…!」
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