千夏

6/7
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
すると潮夏(しおか)はグルっと横の千夏(ちなつ)に向き直る。 「わ!運転…」 しかし運転席では既に初老の男性がレバーを握っていた。 「千夏(ちなつ)様」 「あ、はい!」 急に呼ばれて驚いた千夏(ちなつ)は、思わず姿勢を正して直立した。 「貴方様の状況、葛藤、お悩み、すべて潮時(しおどき)です」 「え?」 「潮引(しおひ)いて潮時(しおどき)潮夏(しおか)が静かに千夏(ちなつ)の手を取る。 「え、あの?潮夏(しおか)さん?」 長身で姿勢の良い潮夏(しおか)は、同じ女性なのにどこかの国の王子様のように輝いて見えた。 「さあ、そろそろご卒業くださいませ」 「卒業…?」 その時、一面のひまわり畑の中で走り回る少女の姿に気づく。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!