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この駅にはあと10分以上経たないと列車は来ないハズだ。
慌てて海の広がる方向の、1番線を見る。
その瞬間、クリーム色のレトロな列車が乗り入れてきた。
「なんだ!?」
プシュー
1両編成の小さな列車のドアが開く。
乗客は誰も乗っていないようだ。
「お客様。お待たせいたしました」
客席と隔たりのない運転席の窓から、女性車掌が顔を覗かせた。
綺麗系の彼女だが、首元の赤いチョーカーはリボン結びで可愛らしい。
「いや、俺は…。あ、お金!あんまりないし!」
「当列車は無料となっております。どうぞお気軽にご乗車くださいませ」
車掌の言葉に好奇心が勝った尊は、迷いながらも列車に乗り込んだ。
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