小説家は俳優である

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 小説の登場人物を詳細に設定することが重要である。  毎日どんなライフスタイルで、趣味趣向はどんな傾向で、いつも何を考えて生活しているかを想像しやすくするためである。  小説を書くときには、非公開のメモとあらすじを書く。  登場人物のフルネームや年齢、職業、好きな物、人間関係のことなどを大まかに書いて置く。  これは備忘のためでもあるし、人物像のイメージを肉付けするためでもある。  ストーリーの筋が分岐するとき、 「この人の立場ならどういう行動を取るだろう」 「何を喋るとこの人らしいだろう」  と考えることになる。  同じ人物でも、場面が変わり周りにいる人が違えばセリフも変わる。  文字をキーボードで打っているとき、頭の中では同時に音声が聞こえる。  感情も、共有することになる。  だから書いているときは、とても忙しい。  すべての登場人物を同時に演じ続けるのだから。  自分の中にあった感情の動きが、文章から抜け落ちたときには、 「テイク2! 」  となって推敲するわけである。  作者は常に登場人物と人生を共有し、追体験することができる。  これが創作の素晴らしいところである。
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