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ある日、私は家に帰った。段ボールで作られた家。公園の隅にある。
「ホームレスって今時いるの。」
「本当にあれだね。」
いつもと同じように罵られる。そんなことが普通になっていた。
「お嬢さん、ちょっと私のところに来てよ。」
どういうことかわからないけれどとっても綺麗なお姉さんに連れていかれる。もう、どこに行ってもいいし、死んでも大した悔いはない。
「さあ着いたよ。あなたはこれからここの住人。わかった?」
連れてこられたのは大きなお屋敷みたいな場所。ちゃんと屋根があって窓もある。綺麗なお家。私をここに連れてきて何をするのだろう。
「さあ、入って。」
お姉さんが扉を開けた。するととても綺麗な部屋が見えた。
「誰だ、こいつ。」
「まあいいじゃないか。この子とても困ってるけど説明したのかい?」
「あ…。忘れてた。」
お姉さん以外にも男の人が二人いる。怖そうな人と、優しそうな人。
「説明してなかったね。私が貴方を連れてきた理由はね…」
お姉さんが説明してくれた。私をこのシェアハウスで引き取るんだって。理由は秘密って言われた。
「私は昼川希美。名前まだったでしょ。忘れてた。」
「俺は笹身川聡志だ。容赦しないからな。」
「僕はね、藍沢和尊って言うんだ。よろしく~。」
私も自己紹介しないといけないのかな。もし、名前を言ったら嫌われるかもしれない。けど、名前は聞かれてないから別にいいのかもしれない。
「君の名前は?」
「……私の名前は藤井乃絵瑠。」
いつも通りのことを言われるに決まっている。だって私はキラキラネーム。仕方がない。
「改めてようこそ、のえるちゃん。」
この人、希美さん達は本当に優しいと思った。
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