遺書

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 待っていたのは甲斐田さんの担任である宮内先生と、母さんと同じくらいの年齢の警察官のおばさんだった。宮内先生はスーツを着て、今にも倒れそうな真っ青な顔をしているが、一方で警察官のおばさんは優しそうな雰囲気でニコニコとしていた。 「来てくれてありがとう。高橋さんね? 」  頷いて答えると、ソファに座るように指示される。ちょこんと座ると思っていたよりもふかふかのソファで体が沈み込んだ。 向かいに座った刑事さんは、間瀬さんと名乗り、私に封筒を渡してくれた。 「いきなりで悪いんだけどこれ、読んでもらえるかな? あなたのことが書いてある部分だけコピーしたものだけれど、きっと甲斐田さんも読んでもらいたいと思っていると思うから」  ペコリと頭を下げてそれを受け取る。どうぞ、と促されて受け取った封筒の中を見ると、折りたたまれた白い紙が入っていた。
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