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いつもと違う朝
いつも通りの朝の筈だった。
目覚ましのアラームは6時半。
遅くとも7時には家族の誰かが起こしに来る。
鳴ったアラームのスマホを止めようと手を伸ばす。
?…手が、異様に白い。異様に細い。
がばっと勢いをつけて上半身を起こす。
暮田可乃子は朝、目覚めると全身ガイコツになっていた。
なんだこれ。夢の続き?骨。ホネ?
ガバっと起きて全身ミラーの前に立つ。自分の姿を映しても、どう見ても上から下までガイコツだ。
髪の毛すら一本もない。眼球もない。驚きすぎて声も出ない。
パジャマはどこへ?いつの間に脱いだの?暑かったのか?そりゃすーすーするのは不快ではないけど。汗もかいてない。ってかきようがないか、骨しかないし。混乱。なんだこれ。
私はアレか?朝起きたら大きな虫になってたってグレゴール・ザムザと同じか?
混乱したままウロウロ部屋を歩き回る。わけがわからない。
うん。これは夢だ。違いない。もっかい寝よう。
私は再びベッドにダイブして布団にもぐりこんだ。
今日は遅い出社でいいから余裕がある。もう少し寝ても大丈夫。
と思ったら時計が7時を回った。階段を上ってくる音がする。
足音で誰だかすぐわかる。母だ。
「いつまで寝てるの?7時過ぎてるよ。」
頭まで被っていた布団を引きはがされる。数秒の沈黙。
そして家中に響く悲鳴が上がった。
夢じゃなかったらしい。
悲鳴上げたいのはこっちのほうなんだけど。
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