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その日は突然訪れました。
仕事が終わって一度帰宅、子供たちのお迎えに行かなきゃ、と家を出たとき、なんとなくエブリスタを開いたのです。
――あれ?
「今読まれています」が15人?
すっごい読まれてるけど、何?
普段読まれても1ケタなのに。
しかも、けっこう前に書いた作品だよ?
エラー?
エラーでしょこれ。
……どなたか親切な方が気に入って、ネット上でおすすめしてくださったとか?
不審に思いつつ、ページコメントを見ると「受賞おめでとうございます!」のコメントが次々と。
――え?
あ、妄想コンテストの発表があったのか。
って、え?
受賞?
え?
なんか見覚えのある表紙が発表ページに載ってるんですけど!?
あ、お迎えいかなきゃ。
とりあえず車に乗って、エンジンかけて、いつもの信号で止まって。
え、受賞? え?
「えーーー!? うわぁマジでぇええ!!!?」
「わぁーーーーー!」
「えっうそ、えええええ!?」
本当に、車の中で叫んでいました。
いつもの行動をとっているのになんだかハイテンションでふわふわして、変な感じのまま保育園に着きました。夢じゃないかと思った。
平静を装ってお迎えをすませて、子供たちを乗せて。
「お母さん受賞しちゃったよ!」
もちろん小さい子供たちはわかるはずもなく。それでも「なんかおかあさん、へんなかんじ」くらいには思っていたかもしれません。
――え、どうしようなんかお祝い!? ケーキとか買っちゃう!?
ああでも、夫には小説書いてること言ってないんだった。どうしよう言っちゃう? いや心の準備が……。
結局どこにも寄らず真っすぐ帰り着き、ごはんを作っている間にもちらちらと「今読まれています!」とコメント返しとPVをチェックしちゃいました。
もうずっとハイテンション。
「おめでとうございます! 今夜はごちそうですね!」のコメントを見かけて「あっ、その手があったか!!」と思いましたが、その日メニューはしょうが焼きと決めて肉も解凍していたので、普通のごはんとなりました。
すごく、嬉しかったんです。
公募には引っかかったことがなく、そもそものろのろペースで書くことに焦りと「まあ書籍化なんて夢のまた夢だよなぁ」と諦めに似た気持ちもあって。
「才能ないのかな、いいや誰かが『続けるのも才能』って言ってた」「どの道もう書くのをやめられないから認められなくても書いていこう」と考えているときでした。
だから、とても嬉しかった。
認められて、受賞きっかけで「あなたの作品面白かったよ」と初めての方にも言われて。
賞金をもらえたことも、もちろん嬉しかった。でもそれ以上に、入賞してたくさんの方に読んでもらえたことが何よりの財産です。
自分の道は間違ってなかったんだなと思った出来事でした。
(まだ続きます!)
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