会いたい人

······今どこにいますか？

私には両親が居ません。

父は物心着く前に亡くなっていて、母は女でひとつで私を育ててくれました。

しかしあの日······大きな地震が起き、港町だった私の住んでいた町は、一瞬で大津波に呑み込まれました。
母は、パートの仕事に出ていて、それきり連絡が着かなくなりました。
住んでいた家も跡形もなく津波に流され、思い出も何もかもが失くなり、ただ呆然と真っ黒な海を眺めていたのを覚えています。

未だに母の消息は、ようとして知れません。

当時、まだ中学一年だった私は、親戚の家に預けられる事になりました。

今でもあの時の光景は目に焼き付いています。津波の夢を見て、冷や汗をかきながら飛び起きる事もあります。

そんな私の事を親戚の叔父と叔母はとても心配してくれていました。
心配してくれる人が居る分、私は恵まれている方だと思います。