最後の戦い

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 女性陣2人が座っても、やっぱりカール様は休むことはない。さすがはレイヴン王国の国境騎士団長を務めるほどの筆頭騎士は心構えが違う。  彼は周囲への警戒を怠らず剣も抜いたままだ。  旅の中で出会う人々がカール様のことを勇者だと思うのは当然だろう。  付け焼き刃の勇者なんかよりも、威厳のあるたたずまいはまさに理想の勇者そのものだ。  この世界に召喚されて5ヶ月、何の特技も無い平凡な高校生が、異世界で勇者としてあがめられ、半ば強制的に冒険の旅に出るなんて死刑宣告に近い。  それを支えてくれたのがこのカール様と、隣に座るエルザさん、そして勇者だけが扱える武器──【聖剣シュプリンガー】だ。  魔法なんてゲームか映画の世界のもの、想像上の産物に過ぎない。  そんなわたしが魔法を使えるのは、あらゆる魔方陣を刻印している聖剣があるおかげだ。  棺みたいな箱に収まっていた剣は、わたしの身長くらいある巨大な剣だった。  手に取ると、意外やそれは軽くて、そして光輝きながら徐々に縮んでいった。  聖剣は勇者に合わせて形を変える。  縮んだ聖剣は刀身が細く薄く、自分の顔が映るほどに艶々としていた。  どこか日本刀に似ているのは、わたしが日本人だからだろうか?  剣術にいたっても、魔法と同じく、わたしなんて未経験のど素人だ。  短期間で強大な魔物を相手にできるほど剣が扱えるようになったのは、カール様の教えが良かったからだろう。(わたしは魔法よりもいくらか剣の方が得意みたいだ)
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