遺跡と銀の板

8/8
前へ
/8ページ
次へ
 「変なこというんですけど。」  ボクは断ってから言った。 マナカさんに言われた道案内で、遺跡の奥の方へと二人で歩きながら 聞きたかったことを聞いた。  「マナカさんって、別の世界から来てるんですか?」  「あ、そうです。よくご存じで。」  すごくあっさり認められてしまったので、拍子抜けしてしまった。  「なんかその、普通なんですね。」  「普通あんなとこから急に出てこないんじゃないですか?」  「それはそうなんですけど、別の世界の人って、  もっと恐ろしかったり、変わってたりするのかと思ってましたから。」  「あはは。それ私も最初は思ってました。」  「ですよね。」  「でも。」  マナカさんはボクの方を見て言った。  「私から見たらヤドさんも別の世界の人ですけど、  私を何のためらいもなく助けてくれたじゃないですか。」    「それが普通じゃないですか?」  「じゃあ、ちょっと住んでる世界が違っても、そんなに違わないですよ。」  「じゃあ、マナカさんの住んでる世界って、魔法がなくてキカイがあるんえすか。」  「えーっと、はい、魔法はないですし、それの変わりがキカイというか、  コンピュータというか、まあキカイで間違いじゃないですね。」  「そうなんですか。」  魔法もなくてどうやって生きて行ってるんだろう。そんなこと可能なんだろうか?それともキカイってのも元を辿れば魔法と大差ないんだろうか? 色々聞きたいことが頭に溢れて来たけど、ここでマナカさんを質問攻めにするのも悪い気がしたので、やめておいた。  「ここです。」  前と同じように目的地につくと、 マナカさんはくるくる回って壁に近づき、銀の板を近づけて扉を開いた。  「ヤドさん、お願いがあるんですが。」  マナカさんはそう言って、一枚の薄い緑の板を渡してきた。  「これを受け取ってください。」  「なんですかこれ?」  「うーん、まあ、私の持ってるやつのちょっと簡単なやつといいますか。」  「はい。」  「それを一週間、えっと、満月が四つに分かれる度にこの遺跡の、  どの柱でもいいので当ててもらえば、扉が開くはずです。  そこから私の仕事部屋に行けますから、ヤドさんがよければ  来てもらえませんか?」  「はい?」  「すいません、もしよろしければ、こちらの世界でのお仕事を手伝って  もらえないでしょうか?」  そこから、ボクはマナカさんの世界とこっちの世界を行き来する生活を  はじめることになる。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加