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「いってきまーす。」
まだ誰も起きてない家に向かって小さい声で言うと、
ヤドは家を出た。
まだ日が昇る前の白んだ村外れの道を歩いて行く。
道の途中で、こちらに向かって歩いてくる
スケルトンのスケさんとシバ・コガタ・ケルベロスのカムグトブが見えた。
スケさんも僕に気づいたようで手を挙げる。
「スケさん、おはようございます。カムグトブの散歩ですか。」
「そうそう。おはようヤド。早いね。また薬草採り?」
「はい。夕べの満月で多分いくつか珍しいのが生えてきてるはずなんで。」
答えているボクの足元で、三つの茶色い頭が尻尾を振って見上げていた。
「おはよー、カムグトブー。」
三つの頭をそれぞれ撫でると、カムグトブは尻尾をさらに大きく振った。
「ハハハハハ。カムグトブはヤドのこと大好きだな。」
カツカツカツカツとスケさんは楽しそうに笑う。
「ありがとうなカムグトブ。あ、そろそろ行かなきゃ。」
駅まですぐとはいえ、時間の余裕はそんなにない。
「おっと引き留めてごめんよ。じゃあなヤド、親父さんとおかみさんによろしくな。」
「うん。じゃあいってきます。」
「気を付けてなー。」
スケさんとカムグトブに手を振って別れ、坂を下りて駅へと急ぐ。
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