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駅には誰もいない。
まあ、夜明け前から遺跡に行く物好きはボクくらいか。
緩やかな石畳の坂道をサクサクサクサクという、
ワラジ靴を履いたゴーレム馬の足音が段々と近づいてきた。
駅に着き、青白い魔法煙を上げる緑色の古いゴーレム馬車に乗り込む。
乗客は誰も乗っていない。
始発で山に向かう客は僕だけのようだった。
馬車に揺られていると、段々と外が明るくなってきた。
終点で降りてしばらく歩くと、
スライムゴケにまみた石段が見えてきた。
『この先、ノウリョウセキ遺跡』
錆びついた看板を横手に
いつもの通い慣れている道を進む。
遺跡の階段を昇り、たくさんの石の柱が並ぶ
神殿跡を進む途中で、ボクは足を止めた。
見慣れた景色がどこかおかしい。
なんか引っかかる。どこがおかしいのかすぐにわからなかったが、
三本ほど先の一本の柱が崩れているように見えた。
近づくと、柱は崩れてたわけではなく、
柱の一番下の部分が
真っ二つに斬られたように
扉の様に開いていた。
石柱が開いている?
昔の神殿の柱だから、何かの儀式で使うようなものだったのか?
でも子供の頃から来てるけど、
柱の中が空洞だなんて聞いたことがない。
もしかしたらすごい大発見なのかも?
そう思って中を除くと、
女の子が倒れていた。
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