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「変なこというんですけど。」
ボクは断ってから言った。
マナカさんに言われた道案内で、遺跡の奥の方へと二人で歩きながら
聞きたかったことを聞いた。
「マナカさんって、別の世界から来てるんですか?」
「あ、そうです。よくご存じで。」
すごくあっさり認められてしまったので、拍子抜けしてしまった。
「なんかその、普通なんですね。」
「普通あんなとこから急に出てこないんじゃないですか?」
「それはそうなんですけど、別の世界の人って、
もっと恐ろしかったり、変わってたりするのかと思ってましたから。」
「あはは。それ私も最初は思ってました。」
「ですよね。」
「でも。」
マナカさんはボクの方を見て言った。
「私から見たらヤドさんも別の世界の人ですけど、
私を何のためらいもなく助けてくれたじゃないですか。」
「それが普通じゃないですか?」
「じゃあ、ちょっと住んでる世界が違っても、そんなに違わないですよ。」
「じゃあ、マナカさんの住んでる世界って、魔法がなくてキカイがあるんえすか。」
「えーっと、はい、魔法はないですし、それの変わりがキカイというか、
コンピュータというか、まあキカイで間違いじゃないですね。」
「そうなんですか。」
魔法もなくてどうやって生きて行ってるんだろう。そんなこと可能なんだろうか?それともキカイってのも元を辿れば魔法と大差ないんだろうか?
色々聞きたいことが頭に溢れて来たけど、ここでマナカさんを質問攻めにするのも悪い気がしたので、やめておいた。
「ここです。」
前と同じように目的地につくと、
マナカさんはくるくる回って壁に近づき、銀の板を近づけて扉を開いた。
「ヤドさん、お願いがあるんですが。」
マナカさんはそう言って、一枚の薄い緑の板を渡してきた。
「これを受け取ってください。」
「なんですかこれ?」
「うーん、まあ、私の持ってるやつのちょっと簡単なやつといいますか。」
「はい。」
「それを一週間、えっと、満月が四つに分かれる度にこの遺跡の、
どの柱でもいいので当ててもらえば、扉が開くはずです。
そこから私の仕事部屋に行けますから、ヤドさんがよければ
来てもらえませんか?」
「はい?」
「すいません、もしよろしければ、こちらの世界でのお仕事を手伝って
もらえないでしょうか?」
そこから、ボクはマナカさんの世界とこっちの世界を行き来する生活を
はじめることになる。
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