掃除

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掃除

「じゃあお邪魔します!」 私は子供が扉を開けてくれたので後から部屋へと入らせて貰った。 一応招かれたって言えば許してくれるよね… 恐る恐る部屋に入ると… 「なっ…」 その惨状に言葉を失う、そこは服が脱ぎ散らかされ本や書類と見られる紙が散乱しておりまるで泥棒でも入ったかの様な有様だった。 「ど、泥棒!?」 私は子供を急いで抱き上げると フルフル、子供は首を振った。 「ま、まさかこれが普通なの?普段からこんな感じ?」 コクッ… くっ…ここの親…ちゃんと面倒見る気はあるのか!? 私は怒りを覚える。 しかしこの子はさっきここの人を家族だと言った…これはこの子の現状をきちんと確認してあげないと…でもその前に… 「ねえ、君はこの部屋すき?」 子供は床の見えない部屋を眺めて首を振った。 「だよね!お姉さんもこれは嫌だ!だから一緒にお片付けしない?綺麗になったら家族の人も喜んでくれるかもよ!?」 子供は少し考えてやってみたいと言うように頷いてくれた。 よしよし、やっぱり子供は素直で可愛いなぁ 私はいい子いい子と頭を撫でる、すると頬を赤らめて嬉しそうに笑った。 「じゃあまずは服を畳もう!お姉さんが畳むから君は服をここに集めてくれる?」 コクッ! 子供は嬉しそうに頷くと、早速落ちてる服を私のそばに置いていく。 その可愛い仕草に微笑んでしまう。 ああ、見とれて子供にだけ仕事をさせるわけに行かない!私も急いで服をたたみだした。 あらかた部屋の服をたたんでいて気がついた…どうもこの家には少し大柄な男の人とこの子だけが住んでるようだ。 ほとんどの服は男の人の物で、残りはまだ着た様子のない子供の服が何着かあった。 服をたたみ終わり部屋の端に積んでおく、後で少し処分するように忠告した方がよさそうだ。 パンツや下着もあったがそれは触りたくないので近くにあった箱にまとめて詰め込んでおいた。 一応また婚姻前の乙女だ!それぐらいは許されるだろう。 それに勝手に触られても気持ちよくはないだろうからな…しかしもう遅い気もするが… 畳まれた服を見て苦笑する。 文句を言われたら仕方ない全力で謝ろう。 「ありがとう!君のおかげであっという間に終わったよ!じゃあ次は本や紙を片付けようね!紙は手を切ったりしちゃうから私が拾うね。君は本を本棚に閉まってくれる?」 コクコク! 子供は動くのが楽しいのか生き生きとしながら何度も頷いた! 私はなるべく書類らしき物の内容など見ないように紙を拾い集めると服に埋もれて先程まで見えなかった机にまとめて置いておく。 そしてその中に一枚写真を一枚見つけた… そこには綺麗な女性と見目のいい男性、その間に今目の前にいる子供が笑顔で写っている。 後ろを見ると… 『グリスとリデル、アリスと…』 名前が書かれていた。 その写真を見る限りこの子は幸せな家族がいたのだろう…ここに写る人達がこの子を捨てたとは考えにくい、そうなると…事故か病気で… 私は写真をそっと書類に挟んだ、まだ見せるべきでは無いのかも知れない。 「アリス…ちゃん?」 私は名前を呼んでみた、すると本を片付けていた子供の手が止まりこちらを振り返った。 「もしかしてアリスちゃんかな?」 コクコク! アリスはなんでわかったのと言うように驚いた顔で近づいてきた。 「やっぱりそうか!さっき紙に名前が書いてあったんだ!よかった~名前がわかって。アリスちゃんって呼んでいいかな?」 アリスは名前を呼ばれて嬉しそうにすると頷いた。 「よし!アリスちゃん!本もあと少しだね!一緒に一気に片付けちゃおう!どっちが 早いか競走だ!」 私が腕まくりすると勢いよく本を拾っていく。 アリスは負けじと慌てて本を拾いだした!
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