人柱のいる風景②

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人柱のいる風景② ある大きな神社の社の建築の際に、地面を掘り返すと、棺桶が発掘された。 中には巫女装束の女性の遺体が納められていて、「人柱だろう」、との事だった。昔は道路や河川の建築中に偶然通りかかった歩き巫女や旅僧を拉致して、生け贄同然に人柱としたらしい。 この棺桶の女性も、唐突に人柱として役目を負ったらしく、まだ心の準備も出来ていなかったのか、棺桶の内側には、外へ出ようと爪で引っ掻いた痕跡があったと云う。 棺桶に入れられた後に足掻いたのか、或いは生きたまま埋葬されて、蘇ったのかもしれない。 生きたまま埋葬されて蘇ったと云えば、某怪談シリーズの一編に、「火葬場の炉の中の煙突に引っ掻いた跡がある」、と云う怪談があったが、私はあれは怪異ではなく、現実の怖い話しだと思う。はからずも生きたまま火葬場に運ばれた人物が、熱さの余り蘇り、炉からの脱出を試みた痕跡だと思うのだ。 棺桶からの蘇生と云えば、私の家系にも、二、三類似した話しがある。 葬式の最中に御遺体が蘇ったと云う奇跡と、叔父が救急車で運ばれて心肺停止後に蘇った出来事があるのだ。 臨死体験に良くある花畑の夢は、見ていないと云う。
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