第40話 電話

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第40話 電話

 長い事情聴取の末、風間先生と僕が解放されたのは、深夜1時を回ってからだった。 風間先生がぼやく。 「ちくしょう 警察共め。 散々無視を決め込んだくせに、いざ来たら長時間拘束しやがって。 まるで容疑者だよ」 「神条くんはユキムラさんの件もあるので、まだまだ聴取に時間がかかりそうですね」 「俺たちは世界を救った、ちょっとした英雄の筈なんだがなぁ。 まぁ誰も知らんか」 「ふふっ、目立つのは苦手なので、僕はこの位が丁度良いですけどね」 「君も欲の無い奴だな」 「……そうだ、先生。 新太さんと電話させてもらっても良いですか?」 「構わんよ。 映像で見てたとはいえ、きっと心配してるだろうからな」  新太さんは、1コール目で出た。 「やぁ洋介くん、無事で良かった」 「僕は大丈夫ですけど……ユキムラさんが死んでしまった……すみません、僕のせいです……!」 「いや、純也は長い人生、ずっと悔恨の日々を送っていた。 俺もアイツを失ったのは辛いが、ある意味これは奴にとっての救済だったのかも知れん。 見事な最期だった。 俺は笑顔で送り出してやりたい」 「そう……ですか……すみません」 「謝るのはこちらの方だ、すまない。 本当は俺たちが決着を付けるべき敵だった。 俺も独自に調べていて、九鬼とその周辺が怪しいというところまでは掴んでいたんだが、如何せん決定打が無かった。 君や神条くんを巻き込んで、迷惑をかけてしまったな。 本当に助けられたよ」 「いえ、新太さんの作戦が無ければ、僕達はあそこで全滅でした」 「謙遜するな。 君の作戦のお陰だ。 君は確か荀彧(じゅんいく)が好きだったな。 差し詰め今回は、『二虎競食(にこきょうしょく)の計』ってところか?」 「……えっ? あれっ? 新太さんが何で……その事を知ってるんですか?」 「おや? まだ気付かないのか? かつて所属していた、ギルドマスターの声に」 「まさか……あなたは……『』!?」 「ふふっ、久しぶりだね、洋介くん」 「そんなっ……何で!? 全部知ってて、僕に近付いたって事ですか!?」 「ははは、そんな まさか。 本当に、ただの偶然さ。 タマキは、俺が所有する18個のプレイヤーIDネームの1つさ」 「18個のプレイヤーID……!? タマキさん……いや、新太さんは、カリスマハッカーの『デビル’s』だった……! そういえば噂を聞いた事があるぞ……MMORPGヘブンズ・スクエアの創始者は……」 「そう、ヘブンズ・スクエアを創ったのは、
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