カマキリの愛

再会

『昨夜、国道で普通自動車とトラックの衝突事故が発生しました。この事故で普通自動車の運転手の星野　聡(ほしの　さとる)さんが重傷を負いました。またトラックの運転手だった…。』

ここは東欧中央病院。

この地区では最大の病床を持つ総合病院。そのために様々な専門医も居て、患者も多様だ。それぞれの症状に合わせて沢山の患者が来院している。

その待ち合いで流れるテレビを横目で見て通り過ぎていく一人の女性看護師。

整った顔立ちに目を引くことは多数。多くの患者や見舞い人が思わず足を止めてしまう事も少なくはない。

ただ、長いことこの病院にいる人にとってはその美貌以上に、その態度や目つきの冷たさが帰って有名になっている。

患者に寄り添うというよりは、仕事という形を確立し、無駄なく、そつなく、こなす様な、そんな女性だ。

「あーあ、やだやだ、またテレビが私達の仕事の結果発表している！」
「本当！死亡だと言うと分かってても何度も流れるから嫌になる！」
他の看護師達が休憩を取りながら話している会話にも入ることなく通り過ぎ一人で過ごす彼女。

彼女の名前は遠山　瞳(とおやま　ひとみ)。そして彼女はここの病棟の看護にあたる。