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「瞳さん!」
「はい?何ですか?佐原先生。」
廊下を歩く瞳を見つけて呼び止めたのは若い男性先生だ。若くして確かな腕を持つ外科医で、甘い癒やし系の顔立ちや、細身で高い身長が病院でも1.2を争う人気を生み出している。
佐原先生は瞳を誘導して、部屋の中へ入れる。
「この間の交通事故で緊急搬送された患者さんのカルテ。」
「ありがとうございます。」
瞳はじっとカルテに目を通す。中に書いてある主観的内容、バイタルなどの客観的な内容、評価や計画を見ていく。
「腹部の裂傷は深く内蔵にまでダメージが出ていて回復には時間を要すると思う。ただ年齢が若いこともあってか、各種数値は悪くない。このまま経過の記録をお願いしたい。」
「分かりました。ありがとうございました。」
瞳はすぐさま部屋を出ていこうとする。
「瞳さん!」
「はい?何でしょうか?」
「今夜とか予定空いている?」
「…仕事に関係はないので、失礼します。」
瞳はイケメンで人気のある佐原先生でも全く釣れない態度なのだった。
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