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瞳は自宅へ帰る。閑静な所に建つマンション。瞳の部屋はまるでモデルルームの様だ。いい意味で綺麗な、言い換えると生活感をあまり感じられない、そんな部屋だ。
その部屋の一角。
透明なケースがいくつか積まれている。その中にはそれぞれ一匹ずつ、独特の黄緑をした身体と目玉が二つ、あちこちを見ながら瞳の部屋を眺めている。鎌を口で手入れをして新たな獲物を待つ。カマキリだ。
瞳は部屋の中である本を読んで、そして彼らの彼女らに近づいた。
「…見つけたよ…。楽しみね…。」
瞳はそう言ってカマキリの中でも比較的小さな一匹を取り出した。お腹の奥にある構造からこのカマキリはオスだ。
瞳の手のひらで「離せ」と言わんばかり鎌や脚をバタつかせる。瞳はそのカマキリをゆっくりと握りつぶしていく。
組織が潰れてカマキリは胸から上下に別れていく。白と透明の液にまみれて潰れていくカマキリ。
そして瞳の手のひらで僅かに下腹部の脚でもがく肉の塊になったカマキリ。その腹部から細長い黒い物体。カマキリやコウロギ寄生するハリガネムシが顔を出していた。
「…寄生虫…。」
瞳はハリガネムシをピンセットでつまんでチャッカマンの火で燃やしていく。
「…寄生虫は…要らない…。」
チリチリと熱で焼かれるハリガネムシ。その近くに瞳が読んでいた本が開いて置いてある。
『…カマキリの生態…メスがオスを食べるのは究極の浮気防止??』
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