寄生虫類

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瞳は回収したペットボトルの水を見つめた。そして、その残りを躊躇なく口に付けて半分飲んだ。残りは一人で笑いながら自分のロッカーへしまった。 瞳はいつもどおりに仕事を進める。患者さんの様態を確認し、不足している点滴などを補充し、必要な機器や道具を管理をする。 そんな時、聡の病室から出てくる花凛。花凛は部屋を出てすぐさまスマホに目線を移した。 瞳は全ての状態を確認した上であえて視線を花凛から外して進む。花凛はふと前を向き、瞳がワゴンを運んでいるのを確かに確認して当たらないように避けた。 しかし、ワゴンは花凛にぶつかってきた。 「痛っ!?」 「??」 姿勢が崩れるほど強くぶつかったワゴン。ワゴンの上の医療道具も床に散らかり、花凛の荷物も床に転がる。 「すみません!」 「もう、最っ低っ!」 怒り狂う花凛の横で急いで瞳は花凛の荷物を集めていく。よく動きながら、一度集めたものを落としたりと何だか瞳らしかぬ手際の悪さ。 ようやく纏めて物を渡す瞳。 「失礼しました。」 「もう!ここの病院はどうなってるのかしら!?」 花凛は捨て台詞を吐いて怒って去っていく。その背中を瞳は見つめていた。 そのまま荷物を拾い上げる前に、自分のペンを取り出した。その後荷物をまとめ何もなかったかのように仕事に戻っていった。
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