雑用パウロ

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「そんなバカな…貴方は…」  そう言いかけたとき、ゴメスは勝ち誇った様子で冒険者チームの長を意味するバッジを見せつけた。 「それは…!」  モヒカン刈りの戦士2人は目を輝かせた。 「そ、そのバッジは…!」 「つ、遂に…遂に…スポンサーから任命されたんですね!」 「おうよ。今日からレッドジャッカルは、このゴメス様のものよ!!」 「痺れるねぇ…それでこそ、俺たちのリーダーだ!!」  ゴメスは勝ち誇った表情でパウロの襟元から手を離すと、酒を注ぎながら言った。 「聞こえなかったかぁざつようクン? お前は解雇…ああ、難しい言葉じゃわかんねーよなぁ。クビな。お前のような足手まといちゃんは、もううちのチームにはひつようありまちぇ~~~~~~ん!」 「どわっはっはっはっはっは…」 「とっとと消えろ。カリウスの飼い犬ヤロー!」 「掃き溜めにでも転がってろクズ!」  モヒカン刈りの戦士2人は大笑いしながら、パウロに向けて親指を下に向けた。  女弓使いは、ニコニコしながら葉巻の吸い殻を、先代リーダーの使っていた短剣に押し付け、年老いた魔導師も犬でも払うように手を動かしている。
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