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パウロは悔しさに震えた。
彼の憧れていた先代リーダーと主力戦士たちはもういない。先日、魔王軍四天王のひとりと死闘を繰り広げ、刺し違えたからだ。
その後、どれほどゴメスたちに嫌がらせをされても、パウロは挫けなかった。先代リーダーたちの武功を、領主やスポンサーたちはくみ取ってくれる。きっと名門ギルドに相応しいリーダーを連れてきてくれると信じていたからである。
「……」
ところが、スポンサーたちは、ゴメスの口車に乗って指揮棒を渡すという選択をしてしまったようだ。
「レッドジャッカルも…これまでか…」
パウロが無念に思いながら視線を下げると、ゴメスは不機嫌そうにパウロの頭をわしづかみにし、まるでボールのようにドアに向かって投げつけた。
「口の減らねえガキがっ!」
パウロはドアを飛び出し、その先にあるごみ溜めに突っ込むと、目を回してしまっている。
「ストラーーーイク!」
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