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それからは一〇分ぐらい、並ぶようにベンチに座って互いに黙り込んだ。隈田君は赤くなったあたしのハンカチを額に押さえて、あたしは隈田君のハンカチで目元を押さえていた。辺りを見渡してみる。海の周りはビルの窓明かりやライトアップの照明で、明るく鮮やかな輝きを放っていた。それらの光は揺らめく海面に反射して、磨りガラス越しに見るイルミネーションのような光景を生み出す。
「なあ」
最初に沈黙を破ったのは隈田君だった。
「佐々木って人に裸の写真をスマホで撮られたって、言ったやんな?」
唐突な質問に、あたしは理解出来なかった。
「えっと、どうして?」
「ええから、答えて。幾つか質問していくから」
疑問に思いながらも、あたしは正直に答えていくことにする。
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