6

3/7
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
 それからは一〇分ぐらい、並ぶようにベンチに座って互いに黙り込んだ。隈田君は赤くなったあたしのハンカチを額に押さえて、あたしは隈田君のハンカチで目元を押さえていた。辺りを見渡してみる。海の周りはビルの窓明かりやライトアップの照明で、明るく鮮やかな輝きを放っていた。それらの光は揺らめく海面に反射して、磨りガラス越しに見るイルミネーションのような光景を生み出す。 「なあ」  最初に沈黙を破ったのは隈田君だった。 「佐々木って人に裸の写真をスマホで撮られたって、言ったやんな?」  唐突な質問に、あたしは理解出来なかった。 「えっと、どうして?」 「ええから、答えて。幾つか質問していくから」  疑問に思いながらも、あたしは正直に答えていくことにする。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!