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レオの話を遮るように「でも既に感染ってるかもしれないじゃないか」とナジが声をあげる。
「落ち着きなさい。万が一感染っていたとしても、体力があればやり過ごせる。アヴリル」
「はい……」
「君は妊婦だから出来るだけ家に居なさい。食事はウィンに運んでもらうようにして、暫く様子を見よう。五日経過して熱も咳も出なければ感染していないと思うが、その頃村人に感染者がまだいれば継続して自宅に待機しなさい」
アヴリルは自分の腹を撫でて頷いた。
「ユーリ、リアナ、それにジャン。君らもだ。ユーリは暫くジャンの家に厄介になればいい。ジャン、石臼を運ばせよう。粉挽きを頼む。子供たちも交代でやるといい」
そこでユーリが立ち上がり「家の中でも手斧で薪割りが出来るよ」と提案し、レオはいい提案だと褒めた。
「息苦しく思うだろうが、食事以外は口覆いを着けて作業してくれ。残った男達は銘々普段通り仕事をして欲しい。食事は持ち帰って家で食べよう。質問は?」
ナジが手を挙げ、レオを指差す。
「うちらも五日間口覆いをして様子見ってことか?」
「そうだ。五日なんともなければ心配ないといわれている。もし、体調に異変を感じたら伝えてくれ。一人の問題ではないし、誰にも起こりうることだ。村の一大事だ。力を合わせ乗り切らなければならない」
リアナがおずおずと手を挙げて、レオが頷いて発言を許可した。
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