冬キャベツとベーコンのスープ

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 玉ねぎをカゴから持ち上げたとき、ぺろんと一番上の皮が取れて手から転がっていった。一枚剥けてもまだ中身の瑞々しいところは見えていない。それでアリシャは閃いた。 (そうだ! そうよ! 私ならエドのところに居られるじゃない)  防御(カライズ)の力で自分の周りに薄い膜を張れば『冬咳』に感染することもないはずだ。  思い着くと俄然やる気が湧いてきた。エドの家に入ることが出来るし、エドに食事を取らせることも、額に濡れた布を置いてあげることも出来るのだ。  食事を作ればその後はいくらでも時間が作れる。エドのところにつきっきりだっていいわけだ。  玉ねぎを毟り皮を剥ぐとナイフを入れた。一気に目が刺激されて涙が溢れてきた。 (ああ、もう! あ、でも……これももしかすると)  アリシャは部屋の隅にある汲み置きの水のところへ行き手と顔を洗い、涙が落ち着くのを待って大きく息を吸い込んだ。目を閉じて、防御(カライズ)の力に意識を向ける。体内に泡立つような感覚、それから手を差し伸べ目を開けた。想像する。畳まれたシーツを広げるようにを拡大させて自分を覆う。しっかり防御(カライズ)の力が発揮できていれば玉ねぎが目に染みることはないはずだ。 (出来ているはず。お願いよ、エドのところに行きたいの)  アリシャは祈りながら玉ねぎの待つテーブルまで歩いていく。相手はただの玉ねぎだが、今はとても緊張していた。
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