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野菜がしんなりしたら出汁用のスープから液体だけを掬って野菜の鍋へと入れていった。あとは野菜が舌で潰せるくらいになるまで煮込んでキャベツのスープの出来上がりだ。
(これからパンを焼いて……そうだわ)
アリシャは空の最小サイズの壺を棚から次々におろしていく。本来はジャムを入れて店に置いてもらう為の壺だった。だから、大きさは大人の男性の両手に収まるくらいしかない。
(なんとなく気が滅入るときは甘いものが食べたくなるわよね)
そうかといって何かを作る暇はないので大きな壺から小さな壺へ前に作ったリンゴのジャムを入れていった。パンに付けてもそのまま食べてもいい。早めに食べきるつもりでこのジャムはてんさい糖の量を抑えて自然な甘みに近いものにしてあった。リンゴは風邪の予防になるとレオが以前に話していたから、もってこいだ。
ジャムを壺に入れて各カゴに入れていく。
パンを焼いているとレオが料理部屋までやってきて、アリシャの用意したカゴを覗いて準備がいいと褒めた。
「あのレオさん。私、エドのお世話をしたいと思っています。見てください」
アリシャは先程作った防御の覆いを再び作り出し、近くにあった小麦を自分にかけて見せた。思惑通り、白い粉はアリシャには直接付かずにパラパラと床に落ちていった。
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