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もちろん自分に振り掛けた粉は体に付かなかったしアリシャは防御の力を信じていた。いや、ボリスの言うように絶対ではないかもしれない。どこかに穴がある可能性はもちろんある。しかし、ローブを被るよりずっと確かな防御策だと考えていた。
「私はこの力を信じているし、レオさんがローブを羽織ってエドを診るよりも絶対に私の方が安全だと思う」
「率直に言う。俺はアリシャに危険を犯してほしくないんだ。君の力を疑っているわけではなく、ただ単にアリシャが心配なんだ」
アリシャは一瞬黙り、「でも」と反論する。
「私は確かに百パーセント安全な訳ではないかもしれないけど、エドが直ぐそこで苦しんでいるのよ? 誰かが行かなきゃならないなら、一番危険のない私が適任だわ」
「アリシャが行くくらいなら俺が行こう」
「ボリス。それはレオさんが行くのと差がないわ。どうしたっていうの? なぜ私を信じてくれないの」
ボリスは多くの場面でアリシャを助け、手を貸してくれた。それなのにこんな大事な場面で行く手を阻むなんて、アリシャには理解できなかった。
ボリスは「わからないのか?」と、アリシャに問う。あんなにいつも楽しそうな瞳をしているのに、今のボリスの目はアリシャからしたら怒っているようにすら見えた。
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