福は内

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福は内

 節分の夜に家を出て風を浴びたくて道を歩いていると足音が後ろからついてくる。  ノシノシと牛のような重くゆったりとした足音でついてくる。後ろを見ると燃えるように赤いヘビがいた。なんで足音のしないヘビがいるんのか不思議に思ったがダラダラと歩いた自分の足音が響いて後ろから何者かがついてきたのだと自分の中で解釈した。にしても珍しい色のヘビが出るものだと感じたが気にせずにまた散歩を続けた。  次はうなり声がした。今にも俺を仕留めて食べるのを楽しみにしている虎のようなうなり声だった。そんな音がしたので振り向くと風のように速く動いていたヘビがいた。前を向くとダムのように暗く沈んだ水のような色と地の底から這ってきたような恐ろしいヘビがいた。どうも地水火風の特徴を持ったヘビがいるのだと思った。二匹の間を小走りで抜けた。こんなにもヘビがいるのは少し恐ろしい感じがした。早く帰ろう。布団に入ったら目が覚めると思った。  後ろから足音がした。あまりにヘビが多くびびっていて早く帰りたかったのもあり振り向かなかったがどうも自分の足音ではなく女の足音らしい。いつまでもついて来るので振り向いてみると突然上下左右わからくなるほどの真っ暗闇包まれた。人肌のこんにゃくのようなものと牙のようにとんがった鍾乳石らしきものに包まれた。
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