あなたには言えない

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『今どこにいるの?』 眠れなくてスマホをいじっていると、1:16という時刻を隠してそのメッセージが写し出される。続けて音を立てずに着信を知らせて、画面が光り続ける。表示された着信相手の名前に、私は動揺する。 「出なくて、いいの?」 隣で寝ていた荒川くんがこちらを向いて私のスマホを眠たげな目で見つめている。私は慌ててベッドにスマホを伏せる。 「大丈夫」 「誰から?もしかして男?」 「違うよ」 「そっか。なら、良かった」 そう言うと、自分の唇を私のそれに軽く押し当ててから、私の髪を撫でておやすみ、と言い、彼はまた眠りについた。 ……大丈夫。 私は、荒川くんのことを好きになれる。 荒川くんなら、あの子を好きになってしまった今の私の気持ちを忘れさせてくれる。 私はそう自分自身に言い聞かせることでしか、心の揺らぎを保つことができなかった。
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