『レニティフ』のはじまり

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 そんなわけで軽い気持ちで見学に行った。  お客としては何度か入ったことのある店だったので、店の雰囲気はなんとなくわかっていた。  それにプラスして、カウンター内や厨房を見せてもらって、仕事にも少し触れさせてもらって……数日後には面接を受けて、あっさり採用してもらえた。  弘樹が入ってきたのはその一ヵ月ほどあとのことだった。 「ユウ、バイトどうよ」  ニックネームで呼び合うようになっていた弘樹がある日、昼食を食べながら聞いてきたので、游太も何気なく答えた。 「割といいカンジだよ。社員もバイトも、めんどくさいひととかいなさそうだし」 「ふーん。アタリならいいなぁ」  弘樹はまだバイト探しをして、そろそろ実際に面接に行こうかと考えているというところだったので、游太は、ふと思いついた。 「じゃ、ヒロもウチにしてみたら?」  游太の誘いに、弘樹は目を丸くした。おかずをつついていた箸もとまる。 「え、だってユウが入ったばっかだろ。そんな何人も採用するのかよ」 「春に学生バイトの卒業とかで、ひとが抜けたままなんだって聞いたんだよ。それに店にバイト募集の貼り紙、まだ貼ってあるし。まだひと、欲しいんじゃないかなぁ」  入ったばかりの身では推測くらいしかできなかったけれど、そう言った。  そうだなぁ、と弘樹はとまっていた箸を再開して、おかずの唐揚げを口に運んで頬張った。  返事はすぐだった。 「そうだな、ユウがいるなら安心だし、いいとこみたいだし。受けるだけでもしてみるかな」
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